鼻の奥をツンとさせる
- 莉江 藤田
- 2016年8月4日
- 読了時間: 2分

なんだか、続けて場所の話ばかりになりますが、今、ふとこの写真をみていて。 (正式にはこの写真が入っている自身のbookを見ていて) この場所は、前住んでいた家から、駅の間にある場所でした。 これは帰り道の写真。 パラパラとbookを見ながら、鼻の奥がツンとしました。 写真だけではわからないかと思いますが、真冬の写真です。 懐かしさと共に、思い出される冬の空気の冷たいかんじに、鼻の奥が反応しました。 ぬるっと暑いロフトの上で。 まるでなんてことない光景。その写真。 この、おそろしいまでに完璧なる「なんてことなさ」 誰にでも撮れる写真。 今あの場所って存在するのだろうか、というほどに(ほぼ間違いなく存在するであろうと思う反面)夢だったのではないか?と錯覚しそうなほどに、遠い景色となってしまいました。 生活がそこにはない、ということの遠さ。 朝早くから真夜中まで、いろいろな時間帯、ここを通りました。 歩いて。走って。自転車で。 写真を撮っている、見ている以外の時間、いかにいきているのか。 いまはそれがほとんどありません。 見ているものがない、みたいなのに、なにを撮れるのかしら。 わたしは冬が苦手です。格段、寒さに弱いから。 でも、体に染み付いているなつかしくてキュッとしてしまうものは、冬にばかり集まっているかも。 冬の匂いには敏感にならざるを得ない。 苦手だからこそ、過敏になるからこそ、の忘れがたさもあるのかもしれない。 暑い季節のことは、ほんと、よく忘れてしまう。 いまのこの時期のことも、特別な割に、なかった、みたいに、すっかり消えて無くなるでしょうか。 だとすれば、やはり、撮っておかなくては知らないままに死んでしまうんだろうなと、そんなふうにも言えるのでしょう、ね。
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